デジタル3D映画
デジタルシネマ構想の切り札とされているのが、デジタル3D(立体)映画である。前述の様にデジタルシネマの最大の障害はデジタル映写機の普及の伸び悩みであり、画質などでは従来のフィルム映写機と大差なく映画館側にとって設備投資するだけのメリットが薄い事が問題となっていた。
加えて、ブルーレイやホームシアターなどの家庭視聴環境の進歩による観客の映画館離れを食い止めるため、フィルム上映や家庭では再現できないコンテンツの差別化が必要とされた。
デジタル3D映画の夜明け
2005年3月、ラスベガスで開催された映画関係者向け展示会ショーウェストにて、ルーカスをはじめロバート・ゼメキス、ジェームズ・キャメロンら著名監督がこの問題についてシンポジウムを行い、打開策として打ち出されたのがデジタル3D映画の推進であった。
同年、ディズニーのCG映画『チキン・リトル』をILMにて3D化処理を行った物を一部映画館にてデジタル上映したところ、入場料が割増だったにも関わらずフィルム2D上映の映画館に比べて4倍前後の動員数を記録、デジタル3D映画の威力が示された。
デジタル3D映画の動向
以降も3D上映を行う作品は増加し、2009年には『モンスターVSエイリアン』『ファイナル・デッドサーキット 3D』などメジャー映画会社の3D映画が一斉に公開された。
さらに、日本初の3D映画『侍戦隊シンケンジャー 銀幕版 天下分け目の戦』が公開され、年末には真打ちとも言えるキャメロンの『アバター』が自身の『タイタニック』を抜き興行収入記録を更新した事で、3D化の流れは決定的な物となり、これを受けてデジタル映写機の導入も活発化している。
デジタル加工技術による過去の作品の3D化も考えられているが、最初から3D用に撮影された実写映像やコンピュータ上で再構成が可能なCG映画と異なり、通常の2次元的な実写やセル動画アニメの映画を3D化するのは極めて困難である。